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第94回 『オリンピック北京大会』 |
八日から北京でオリンピックが始まる。 俺はオリンピックは、昔、夏に後楽園球場であった都市対抗野球大会や、極端に言えば秋になると方々の学校でやる運動会と同じようなものだと思っている。都市対抗は今でも、東京ドームでやっているらしいが、俺だけかも知れないが昭和三十年代にあった興味は、もはや全く無い。 運動会も自分ちの子供が出なくなれば、わざわざ重箱を持って出掛ける人はいない。俺なんかが出掛けて行って応援したりすれば、痴漢だと思われて刑事が張り付く。 オリンピックは、これのとんでもなく大掛かりなものだ。 俺より五つも年長の石原都知事は、もう一度、東京でオリンピックをやるんだと、血相を変えて息巻いている。きっと逗子や田園調布の小学校の運動会では、パン喰い競走に出るんだろう。 オリンピックは、世界一の選手やチームを決める為の大会ではない。ついちょっと前までは、アマチュアの競技会だった。だから俺の知っているだけで、ボクシングもサッカーも、それに野球も、世界超一流の選手もチームも出場しない。 野球はアメリカが、マイナーリーグの選手でチームを作って出て来るのに、日本は一流のプロ選手を選りすぐって、“ホシノ・ジャパン”とか称して北京に押し掛ける。石原都知事か、サメの脳味噌と軽蔑される森喜朗を応援団長にして、日の丸の旗でも振らせればどうだ。 そうは言っても、俺はせいぜいビヤホールか焼き鳥屋に行くぐらいで、暑い夏は家に籠もって“夏籠もり”を決めているから、オリンピックが始まれば最初から最後まで必ず見る。スポーツが好きだということもあるが、要するに暇だからだ。 選手や役員、それに監督やコーチが、テレビカメラに向かって、“日本の為に”とか“国民の期待に応えて”なんてホザクたびに、俺は血圧が上がる。血管が破裂してあの世へ行ったら、お前たちの所為だ!化けて出るぞ。 |
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