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第102回 『巣籠もり正月』 |
このホームページは丸五年前から、女房殿の姉の息子、つまり甥のタツオが面倒を見てくれている。俺は原稿を書いてメールするだけで、あとは全てタツオがやってくれる。自分でアップするのは、“酒場の戯れ言”だけだ。 この“あんぽんたんな日々”も、今回で102回目なのだから、歳を重ねるのも哀しいことばかりじゃぁ無い。 若い頃はまるでウチの飼い猫のウニのように、何にでも熱し易く冷め易かったから、一つのことを五年も続けるなんて、いくら虎の子の小遣い銭を賭けても、そんな根気の要ることは出来なかった。 衝動的、反射的に生きてきて、ほんの十年前までは羆かハイエナみたいだった俺が、還暦を過ぎた頃にやっとモノを考えるようになり、更に爺い化が進んで古稀を過ぎると、臆病で穏やかな、どこにでもいるサマジィになった。俺は今や完全に、人畜無害な年寄りだ。 御先祖様の写真を見ると父方も母方も、みんな例外なく七十歳を過ぎると、痩せて針金細工の鶴みたいな爺様になるのに、なぜ俺だけ超人的にして非人道的なダイエットを連日しても、ちょっと気を抜くとすぐ93キロを超えてしまうのか。 七十過ぎると自動的に萎むと決めていたのに、俺だけそうならないのは、憲法にも常識にも反している。裁判所かそれとも区役所か、何処に言っていけばいいのか、俺には分からない。女房に言ったら、夕飯のオカズを半分にされた。 正月の二日にタツオが、綺麗な奥さんと可愛いくてとても機嫌がいい赤ちゃんと一緒に、夕御飯を食べに来た。たちまち俺はタツオを仕事部屋に引っ張り込んで、パソコンの不具合を直してもらう。 オバカテレビでは、契約を打ち切られた派遣社員が、公園のテント村で炊き出しを食べる姿をセンチメンタルに報じている。ほんの三分遣えば、こんなことになったのは小泉純一郎と竹中小僧の所為だと喋れるのに、オバカテレビは肝腎なことは何も伝えない。 |
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